ステップファミリー(連れ子がいる家庭)の相続「実子がいる場合」

ステップファミリーとはどちらかに子どもがいて再婚して、新たに築かれる家族のことです。
(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)

ステップファミリー(連れ子がいるご家庭)が抱える問題は色々ありますが、なかでも複雑化してしまうのが「相続」関係です。

あなたや相手(または両方)にお子さんがいて再婚され、相続がどうなるのかわからずなんとなく不安な気持ちになっていませんか?

ステップファミリーにまつわる相続がどのようになるか、相続専門の行政書士がわかりやすくご説明します。

今回の記事では、どちらかまたは両方に連れ子がいて結婚したご夫婦に、実のお子さんが生まれている場合の相続について女性視点でみていきましょう。

ポイントは3つです。

  1. 相続では「血縁関係」が重要
  2. 実子にはずっと実親の相続権がある
  3. ステップファミリーの相続には、養子縁組や遺言書などの検討が重要

夫にのみ連れ子がいる場合

夫が前妻との間に生まれたお子さんを連れてあなたと再婚し、あなたとの間にもお子さんが生まれている場合です。

夫が先に亡くなると…?

夫が先に亡くなった場合は、シンプルな相続になります。

離婚した前の配偶者には相続権はありません。

【夫の連れ子】も【あなたと夫との実子】も夫と血縁関係がありますので、通常の相続と変わりません。

あなたが1/2を相続し、【夫の連れ子】と【あなたと夫との実子】2人で残りの1/2を半分ずつ(=1/4ずつ)を相続します。

相続では「血縁関係」があること(「実子」かどうか)が重要で、実子には常に実の両親の相続権があります。※特別養子縁組など特殊な状況を除く

ですから夫の前妻が亡くなったときには、夫の連れ子には前妻(夫の連れ子の実母)の遺産を相続する権利もあります。

あなたが先に亡くなると…?

あなたが先に亡くなった場合は、あなたが夫の連れ子と養子縁組しているかどうかで違いがあります。

まず養子縁組をしていない場合です。

夫の連れ子には、あなたの遺産を相続する権利はありません。

夫とあなたの実子のみが、あなたの遺産を1/2ずつ相続します。

[夫の連れ子とあなたが養子縁組している]

【夫の連れ子】とあなたが養子縁組している場合は、実子同様の相続になります。

夫が先に亡くなった場合と同じく、【夫の連れ子】と【あなたと夫との実子】には1/4ずつ相続権があります。

[養子縁組はしたくない・迷っている]

【夫の連れ子】にもあなたの遺産を相続させたいけど、「養子縁組までするかどうかは決めかねる」という方もいらっしゃいます。

養子縁組によって実の親子関係と同じ扶養の義務や相続関係が発生しますし、いったん養子縁組をすると解消するには離婚と同じような手続きが必要です。

養子縁組まではなかなか決断できない、というようなときはあなたが「遺言書」を書いて、【夫の連れ子】に「遺贈(いぞう)※」するということもできます。

ただし養子縁組していない【配偶者の連れ子】に「遺贈」する場合は、相続税の2割加算や基礎控除が受けられないなどのデメリットもありますので、相続税に詳しい税理士さんに相談しておいた方がいいでしょう。

※遺贈…遺言(ゆいごん)によって、財産を相続人以外の者におくること。

あなたにのみ連れ子がいる場合

夫に連れ子がいた場合との逆パターンになります。

ただ自宅などの不動産は夫名義になっているというご家庭も多いと思います。

【あなたの連れ子】に自宅を相続させたいなどの場合は、以下のふたつの方法を検討する必要があります。

  • 夫と【あなたの連れ子】が養子縁組する
  • 夫に遺言書で【あなたの連れ子】に遺贈をしてもらう(相続税について確認を!)

両方に連れ子がいる場合

再婚同士でそれぞれに連れ子がいる、という場合です。

夫が【あなたの連れ子】と養子縁組しないで亡くなると、相続権は【あなた】と【夫の連れ子】と【夫とあなたの実子】の3名にしかありません。

同じ家族として生活してきたのに、【あなたの連れ子】だけ相続権がないことになります。

もちろん、その逆にあなたが亡くなっても【夫の連れ子】には相続権がありませんので、それでプラスマイナスゼロと考えるのも手かもしれません。

ですが、少しでもわだかまりが残りそうな気がするのであれば、家族全員で相続が起きた場合のことを話し合っておいた方がいいでしょう。

まとめ

連れ子と実子がいる場合の相続について、基本的なことをお伝えしましたがイメージできましたでしょうか?

ポイントはみっつ!

  1. 相続では「血縁関係」が重要
  2. 実子にはずっと実親の相続権がある
  3. ステップファミリーの相続には、養子縁組や遺言書などの検討が重要

縁あって新しくひとつになった家族が、相続で辛い想いをしたり争いごとになったりしないよう、早いうちに準備しておくことが大切です。